先日、東京で「ゴジラ・THE・アート展」という展覧会を見てきました。
ゴジラの展覧会はいろいろ見たことはあるのですが、アートとして表現するというところに興味を惹かれました。
絵画、映像作品、工芸、ジオラマ等々、多種多彩で、これまで見たことも無いような表現にあふれていました。
中でも最初に目に留まったのは、風間サチコさんの「伏龍岩礁帯No.5」という作品です。
インスタグラムのアドレスを以下に上げておきますが、作者本人が、作品の前でポーズをとっている面白い写真です。
https://www.instagram.com/mujintoproduction/p/DI5J25Ayeg6/
まず、ゴツゴツした岩が目に入り、白黒の木版画で表現されたところが一目で気に入ったのですが、左の岩を見るとぎょろっとしたゴジラの目があるではありませんか。
「ゴ、ゴジラだ!」
そして遠景には、核爆発を表わすキノコ雲が、2つ3つと描かれます。
ゴジラ映画第1作では、「水爆大怪獣」とされていましたので、そのゴジラを表現していることは間違いありません。
キノコ雲がいくつか描かれているのですが、一番大きなのが、水素爆弾によるもの、小さなのが広島、長崎を含む原子爆弾のキノコ雲なのでしょうか。
ゴジラの回りには、他にも水爆実験の死の灰を浴びた第五福竜丸、オキシジェン・デストロイアを抱えた潜水夫も描かれます。
もちろんそれは、映画第1作で、ゴジラを倒すとともに、人類にとって有害な新兵器を葬り去るため、自ら命を断った芹沢博士に違いありません。
さらにユニークなのは、芹沢博士の後方に潜水夫が何名か描かれていることです。
作品解説によれば、それは太平洋戦争末期に計画された特攻作戦の伏龍隊の少年兵で、作品の題名もそれにちなんだもののようです。
伏龍というのは、人が海に潜って、敵の艦船を下から攻撃するもので、訓練で命を落とすことが多かったということは、聞いたことがあります。
ゴジラを描くにあたって芹沢博士と伏龍隊を重ねて表現しているのはちょっとした驚きでした。
この作者は良く歴史的事実を調べておられ、『「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れこむ暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する。』のだそうで、別の作品についても機会があれば取り上げようと思っています。
最後に、アートとしてのゴジラ、ということで小生がおみやげに買ってきたアクリルキーホルダーを見てください。良いでしょう。